「上機嫌の才能」を読む。田辺聖子さんの小説のエッセンスがぎゅっと詰まった珠玉の一冊

jyoukigenflower

こんにちは、ローズマリ-です。

久しぶりに田辺聖子さんの本を読みました。

プロフィールに書いているように、私は大学生のころから田辺聖子さんの大ファンです。

ロマンチックでちょっぴり苦い恋愛小説、源氏物語などの王朝小説、田辺聖子さんのおうちにいるぬいぐるみたちが主役の本(スヌー物語)、エッセイなど断捨離する前は文庫本のほとんどを集めてました。

「上機嫌の才能」は田辺聖子さんの小説やエッセイから恋愛や人生観、結婚生活などに関する珠玉の名言を抜き出したアフォリズム集。

読んだとたんに「あ、これはあの小説のこんな場面だった」と思い出します。

同時に生き方、考え方のヒントをもらえて心の疲れだけでなく身体の疲れも癒してくれます。田辺聖子さんの本を読んだことがない人にもおススメです。

上機嫌の才能。田辺聖子さんの魅力

冒頭にこんな文章があります。この文章を読むだけでも心のコリをほぐされるような気持になりました。

世の中は、どんなことが起きるかわからない。
それでも、「世の中って面白い」と思い生きるのと、「世の中って苦しい」と思い生きるのでは、歳月のたちかたはぜんぜん違うのではないだろうか。何が起こるかわからないから、<先を楽しみに生きる>。
上機嫌っていうのは、自分で自分をつくることなんだ、結局は・・・・・
人生、いつも上機嫌であらまほしい。

ほんと世の中はどんなことが起きるかわからないです。

元夫の突然死、相方くんとの出会い、そして結婚。若いころの私には今の状態を想像することはできなかったでしょう。

いろいろあって面白い人生でした。そしてこれからも<先を楽しみに>何がおこるかドキドキわくわくしながら毎日を上機嫌で過ごしたい、と思わせてくれる本でした。以下、気に入ったフレーズを少し紹介します。

嫌なこと、不幸なことがあって参っている人へ。

この道、ぬけられます

行き詰っているように思えるときでも、よーく見渡せば「この道、ぬけられます」の看板がいたるところにあるものなの。
その看板に出会うまで、迷い道に入ったり、大回りしたりするかもしれないけど、必ず「ぬけ道」はありますよ。
それまでは、”だましだまし”自分をあしらって、やっていくことね。
いつでもボチボチいきましょう。

人生のどん底だと思っていても、無理せずボチボチやっていけばいつか「ぬけ道」を見つけて光が見えるかもしれない。

ボチボチっていう言葉に肩をなでられるような気持ちになります。

他人に頼るだけでなく、自分で自分の気持ちを引き立てることも大事です。

気をとり直す才能

魅力にもいろいろあり、どんなのを魅力と思うかは、人それぞれであるが、私の場合、 「おちこんだとき、気をとり直す才能」をあげたい。
おちこむ、滅入る、そういうとき、人にグチをいっても、ヤケ酒を飲んでもしょうがないのであって、自分がおちこんだときは、自分で這い上がるべきである。
(ようし、まあ、今夜は早く寝ちゃおう)
と「気をとり直して」早寝するが良い。

私も以前は他人にグチったりヤケ酒を飲んだり(これが合わさって一人飲みの夜更かしだった)してました。

そういう夜があっても良いけど肝心なときには自分で自分をよいしょっと浮上させないといけないな、と反省。

でもね。こんな言葉もあります。

次の電車に「乗り換え」たっていい

つらいことがあったり、気力、体力で頑張れなくなったりしたら、無理をせず、いままでのペースをやめて、次の電車に「乗り換え」たっていいんですよ。

今の仕事や生活がどうしても辛いのなら辞めてしまっても人生案外なんとかなります。

元夫は「乗り換え」させる前にあちらの世界に送ってしまったけれども、相方くんはなんとか「乗り換え」させることができました。

今の相方くんが乗り換えて幸せになったのかどうかわからないけど、少なくとも乗り換えたことで心配の一つは消えたと思います。

こういう甘い言葉だけでなく厳しい言葉も載ってます。

仕事はそつなく、愛想よく

自分の名前を自信を持って言える。
せっかくお勤めしている間ぐらいは、自分の名前を自信を持って言えるような、そういう生活をしてほしいと思いますね。
自分の名前に誇りと気概を持っていない人に、挫折から逃げるなと、いくら言ってもだめですねえ。やっぱり、甘えがあるのかなあ。(ほのかに白粉の匂い)

女性の生き方について

無邪気なだけでは生きてゆけない

大人は無邪気だけでは生きてゆけない。ことに女は。(『言い寄る』)

女は、自分で自分を作る

三十歳をすぎると、女はもう、自分で自分を作る。
それにいろんな男が投影し、さまざまに影響を与え、女はつくりあげられる。
三十歳すぎてなお、自分の思考やイメージが空白で、生まれたまんまに生きてるような女は、すでに男持ちならいざ知らず、独り者の女としたら、何かが欠落した人間である。(『窓を明けますか?』)

深い言葉ですね。女を男に変えても同じような気がします。

こうやって改めて書いていると田辺聖子さんの本を読みたくなって本棚をあさったり図書館から借りたりしてます。

もう何度も読んでるからストーリーはあらかたわかってるのだけど、読むたびに感じることが違ったりして。

田辺聖子さんの小説を読んでいる時間こそが私の「上機嫌」を作っているエッセンスかもしれません。

同じようなアフォリズム集。新装版が出ています。タイトルにあるようにこちらの方が苦味(ビター)が強いです。